夏を情景を詠んでみた「甘酒の甘きをにくむ我下戸ぞ」by正岡子規



おはようございます。本日の朝、子供の頃、体育の授業で「ゴールを過ぎるまで走りきる」という教えは実生活に必要なことだったんだと知った火曜担当しもじです。

点滅信号にて横断歩道を渡る際、それなりに危機感を持って走って渡るのですが、いつも渡りきる前に「もう、大丈夫」と思ってスピードをゆるめます。(体力温存型)
そしたら、フライング原付バイクが急発進。
朝からヒヤリとしたんですが、その際に「あぁ、子供の頃教わったことって意味があるんだなぁ」としもじみ思ったという話です。

大前提的に、そもそも点滅信号になったら無理に渡らず次を待つ、というのはあまりに常識的すぎるのでツッコミ不要です。

さて、信じられないかもしれませんが2012年8月7日、本日は二十四節気でいうところの「立秋」です。秋が立つと書いて「りっしゅう」。
つまり、暦の上では秋到来。
・・・・・・まだアブラ蝉鳴いてるけどね。
ツクツクホーシになってようやく晩夏のイメージ。
でも、秋なんです。

この「暦の上では・・・・」って文言、ニュースの天気予報なんかでよく聞くとは思いますが、実際には暑かったり寒かったりして、体感季節としては「まだ夏だよ」やら「そんなこといっても冬だ」と思うのです。
じゃあ、それは一体どこで意味があるのか。
それは、風流な文学の世界や絵画の世界に生きているものです。
「粋」を極めようと思ったら、「暦の上では秋だから・・・」と持ち物の色合いを秋めいたものに変えたりね。
端からみたら「いやいや見てるほうが暑いからやめてよ」と思うのかもしれませんが、そんなこといっては無粋というもんです。
そこはたっぷりの愛を込めて「よ、伊達男(しゃれている様を表す言葉)」と声をかけてあげましょう。
そう「粋」なんです。
粋という美的感覚については、九鬼周造が書いた「粋の構造」に詳しいのですが、江戸時代に広く浸透した感覚だということです。
「そいつぁ、粋だねぃ」なんて江戸っ子の言葉で言うのが似合います。

その江戸時代初期に、かの松尾芭蕉が大成させた俳句。
暮らしの中で、はたまたどこか旅先で、心の触れた出来事をわずか17文字に込める俳句。俳句のルールで重要なものの一つが「季語」を入れるというもの。

で、その場面場面で合う季語を見つけねばなりません。
今日から秋なので、何か俳句を作るときは秋の季語が必要になる、というわけです。
なので、作品を制作した日付はもちろんあるものは置いておいて、日付がないものについてもある程度の書いた日がわかるのですね。
時々、あえて違う季語を入れて、その味を楽しむなんて作品もあったりしますが。

話は季語に戻して。
秋だから、秋の話をと思うのですが、私は無粋な人間なので「まだ暑いから夏でいいじゃん」と夏の季語の話をしようと思います。

夏の季語にはどんなものがあると思いますか?

極暑
溽暑
熱帯夜
灼く
秋近し
涼し
土用明
夏の果
夜の秋

上は晩夏のころの気候に関する季語。まぁ晩夏といいながら暑さが一番ひどいことがわかる季語です(笑)

団扇
絵扇

海水着
サングラス
サンダル
白扇
白靴
白絣
甚平
扇子
ハンカチーフ(ハンカチ)
日傘(パラソル)

このあたりも分かりやすい。同じく晩夏の人事に関する季語です。

その他にも、植物、動物、行事など季語のカテゴリは多岐に渡ります。
食べ物カテゴリももちろんあって、その中に思わず目を疑うものが・・・。

それは「甘酒」というもの。

甘酒といえば、年の瀬大晦日、除夜の鐘をつきに行ったお寺にて。もしくは新年の初詣の際、神社にて振舞われるイメージが強いかと思います。
夏よりは冬だろう、甘酒は・・・。
と現代人は思うわけです。

でも「夏」。
夏の俳句にて、甘酒が使用されている例が本日のタイトルです。
明治30年に子規が書いた句です。

甘酒の甘きをにくむ我下戸ぞ

見るだけでは季節不明。
お酒を飲みたいけれど、甘酒くらいしか飲めない悔しさか。
はたまた、お酒の味もわからぬ自分を卑下した句か・・・。
味わい方、奥行きも果てない17文字です。

で、甘酒。
どうして夏に甘酒を飲んだんだ、というとそれは「暑さ対策」だったんだという記事を先日読みました。
(出典元は愛読?雑誌「選択」8月号より)

節電の際の涼をえる方法を、電気のなかった江戸時代に学ぼうという内容のもので、短いながらも学びの多い記事でした。

その中で、江戸時代には汗を出して「気化熱」で涼をえる方法が多くあった、と書かれていました。
だから、甘酒売りが夏になると多く街中にいたんだと。

今のように、冷蔵庫もエアコンもなければ氷も作れず、冷水もなく(井戸水売りはいた模様)、うだる暑さに汗をかこうとなるのはさもありなんです。

夏に鍋は「我慢大会」の様相ですが、人類の歴史からみれば普通のことだったんでしょう。
夏に鍋、夏に甘酒・・・・・・。
考えるだけで暑いけれど、一度エアコンなしでしてみるのもありかもしれません。
汗をたっぷりかいて、その後夕涼みが出来たら通る風も涼しく感じられることでしょう。
夏祭りや花火大会もまた、江戸時代に始まった行事。
先人の知恵やユーモアが今も日本に受け継がれているわけです。

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浴衣もね。
夏だね。

浴衣で食べる、出店の味もまた格別です。
安くないし、美味しくもないのに、どうしてだか思い出に残る味だったりします。
りんご飴、焼きそば、イカ焼き(姿焼きの方)、たこ焼き、わた飴、それから唇も舌も染まるトロピカルジュース。
薄暗いくらいの灯りの中で、人々がざわめいてそれぞれに楽しんでいる夏祭りの様には、どうしてかノスタルジィを感じます。
(夏というのは、昼間の力強さと夜のもの憂げさを併せ持つ季節なんかもしれません)

食べ物の思い出がいろいろな感情に結びつくのは、おそらく記憶中枢と感覚神経が近いところにあるからでしょう。
実際、フラッシュバック(クスリをやって止めた人が突然、バッドトリップしたり発狂したりするアレ)の起こる原因は、それ(記憶する場所と感覚をつかさどる場所が近い)だそうです。

食物を食べないと生き物は生きていけないからこそ、「それ」を食べたときの感覚というのは重要なのでしょう。
「快」だったのか「不快」だったのか。
食べながら泣くのは人間だけかもしれませんが・・・・・・。

そんな思い出の食べ物といえばパンケーキ。
日本では食べる機会はほぼない(最近は増えたけど)のに、海外では朝ごはんに結構当たり前に出てくるから。
それを作ってみようというコラム。

【激ウマ! 口の中でふわしゅわっとトロけるパンケーキのつくり方】


そういえば、月曜担当カワノさんも昔作ったと言っていた。
ホットケーキは商標登録している名称だから、全部を総じて「パンケーキ」だというのだと思っていたのですが、どうやら物も違うみたい。
そういえばホットケーキを朝ごはんにするってのはなかなかないですね、日本でも。

話は変わって、このコラム。


【ブランド名、略語……ああ恥ずかしい読み間違い】

ワタクシも十二分に読み間違えしますけれど、このコラムを読んで木曜担当バタコちゃんを思い出しました。
とてもピュアーな間違いが多くて和みます。
知らないことが多いって学べることが多いってことだから、人より得した気分になります。
コラムの中で秀逸だったのは
「AVを、あ(A)やしいビ(V)デオだと思っていた」(27歳/女性/埼玉県)
だと思います。
アニメビデオもAVなんです。
世の中「AやしさにAふれてる」。

あっと。
昨日から3夜連続で放映中の猫番組。
みたい。みたいけどテレビないから見れない。
世界各地どこでも猫は気ままなのでしょう!
家の近所にいる猫と仲良くなりたいのに、近くによるだけで逃げられる。
荷物が多すぎるからかしら・・・。


【世界の猫の1日に密着 BSプレミアム「岩合光昭の世界ネコ歩き」8/6から3夜連続放送】


ヒグラシの すがた横目に 眠る猫

ヒグラシって秋の季語だったんですねぇ。
夏も終わりのカナカナと鳴くヒグラシの声を聞く夕暮れ。
昼の熱気が抜けるのを寝ながら待つ猫の姿。

そんな穏やかな秋を感じられればいいなぁと思う、夏の1ページ。


うむ、夏の絵日記みたいな記事になりましたね。
では、また明日。